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あらゆるプラットフォーマーに公平性や透明性が求めるられる時代へ|食べログが提訴された件について

 グルメサイトの『食べログ』を運営するカカクコムを、焼き肉チェーン『KollaBo』を運営する韓流村が提訴した。東京地方裁判所は6月16日、カカクコムに対し3840万円の支払いを命じる判決を言い渡した。

 ことの発端は、2019年5月21日になって、韓流村が運営する21のチェーン店において、食べログにおける評価が急に下がったというものである。ネガティブな口コミが増えたわけでもないのに、ある日を境に21店の評価が一気に下がった。3.51から3.06に下がった例もあったとされている。

 このようなアルゴリズムの変更は独占禁止法違反であるとして、韓国村は約6億4000万円の損害賠償と、変更後のアルゴリズムの使用差し止めを求める訴訟を提起した。結果は前述のとおり、カカクコムに対し3840万円の支払いを命じる判決となった。カカクコムは不服として控訴している。

※参考 「食べログ」裁判でカカクコムに賠償命令 – 企業法務ナビ

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今後はあらゆるプラットフォマーに公平性や透明性が求められる

 最初このニュースをみた時、食べログ以外にも『ぐるなび』や『ホットペッパーグルメ』、あるいは『楽天市場』や『Amaonzn』『Googleマップ』など、店や商品を評価するサイトは無数にあるのに、どうして食べログだけ訴えられたのだろかと疑問に思った。しかし、それはおそらくたまたまに過ぎないのだろう。今回の件のように、露骨に評価が下がるというようなことが、他のサイトで行われなかったにすぎない。

 一方で、今後は食べログ側に賠償が認められたことが前例となり、他のサイトが訴えられる例も増えてくるのではないだろうか。大手プラットフォーム側に対して物申したい企業などいくらでもあるだろうから。

 また国内法整備も、プラットフォマー側に公平性や透明性を求めるようになっている。たとえば日本では、2021年に「デジタルプラットフォーム取引透明化法」が施行された。この法律は、大手プラットフォーマーに対して、取引条件などの情報の開示や、運営における透明性の確保、運営状況の報告などを義務付けるものである(経済産業省)。

 現在この対象になるのは、超大手の数社に限られているそうだ。しかし今後はその対象も当然広がっていくだろう。中堅プラットフォームであっても、特定の分野で支配的な地位を獲得しているものはたくさんあるのだから。

 また「デジタルプラットフォーム取引透明化法」、あるいは前述の食べログの前例を使って、プラットフォーマーを訴える企業が増えてもおかしくない。食べログはもちろんのこと、楽天やAmazon、ホットペッパー系のサービス、EPARKなど、星の数ほどある評価サイトにも、評価付けの透明性や取引の公平性が求められるようになるだろう。

※参考 食べログ裁判で違法とされたアルゴリズム運用 欧州では規制、日本は – 朝日新聞

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食べログの評価基準の一部を実は公表している

 ちなみに食べログは、一部の評価基準について以下のページで公開している。
点数・ランキングについて – 食べログ

 このページによれば、食べログはどのユーザーが評価するかによって、評価の影響度を決めているという。簡単にえば、Aさんの★5よりも、Bさんの★5の方を説得力のある評価として採用する、といったようなものである。

食べログの点数は、ユーザーの各評価を単純平均したものではありません。ユーザーに影響度を設定して、点数の算出要素の一つにしています。影響度は、基本的に食べ歩きの経験が豊富な方の影響を大きくするという考え方のもと、食べログでの投稿をある程度繰り返しているユーザーについてさまざまな要素をもとに設定しています。そのため影響度はユーザーによって異なります。

他にも、影響度を付与しないユーザーの例として以下の4点を挙げている。

  • ステルスマーケティングと思われるユーザーの
  • グルメ著名人
  • 飲食店関係者
  • 食べログ運営関係者

 他には古い情報の影響度を下げる、評価件数が多い店の評価を上げる、といった基準もあると書いてある。食べログの有料会員である飲食店は優遇されるといった噂があるが、「有料会員だからといって点数に影響することは一切ない」と否定している。

 日本のグルメサイトでこのように評価基準を公開しているのは、おそらく食べログくらいだろう。一見誠実に思える。ステマや同業者の影響度を小さくし、食べ歩きをしているグルメな人の影響度を高くしているというのだから、その通りであれば、これほど信頼できる口コミサイトはないだろう。

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「美味しい」の信憑性を勝手に決めつけられてしまう腹立たしさ

 一方で、人の影響度を勝手に決めているという点には若干の腹立たしさもある。食べログがやっているのは、人の評価の影響度を、勝手に決定しているのだから。「お前の”美味しい”はあてにならない」というのをアルゴリズムによって勝手に判断されるのである。仲のいい友人に言われるならまだしも、アルゴリズムに言われるのはやや腹が立つ。

 また「口コミ投稿件数が多い人の影響度を高くしている」という点は不誠実にも思える。これはつまり、ヘビーユーザーを重視し、ライトユーザーは軽視すると述べているのだから。利潤の追求を第一目的とする一般企業なので、ヘビーユーザーを大切にしたいのはわかる。納得できる。しかしライトユーザーというだけで「お前の評価はあてにならない」と決めつけられてしまうのはやはり腹立たしい。

食べログの事例は透明性とは何か、公平性とは何かを考える上で参考になる

 少し話がそれたが、このように現在の食べログは、ある程度、評価の基準を公開している。一方で、今回の韓流村の件のように、チェーン店の評価が一律下げられたことについての理由は探せなかった。そもそもアルゴリズムの透明性がどうであれ、チェーンという理由で評価を下げるのは(もちろんそれだけが理由ではない可能性もあるが)、たしかに公平ではないし、簡単に納得できるものではないだろう。チェーン店かそうでないかは、飲食店における満足度にはほとんど関係がない。個人店が好きな人もいれば、むしろチェーン店をより好んで選ぶ人もいる。

 今回の食べログの事例から、プラットフォーマーは、どんな情報を公開すべきか、どういった評価をするのが公平なのか、どこまで情報を公開すれば公平性・透明性があると判断してもらえるのか、これらを見定める参考事例になるだろう。そして今後はさらに、プラットフォーマー側は、かなり具体的に評価基準やアルゴリズムについても情報を公開していく必要があるのかもしれない。

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