不二家、シャトレーゼといった定番のケーキ屋ではもちろんのこと、ドトール、ベローチェなどのカフェから、コンビニやスーパーでも買える日本では定番のケーキであるミルクレープ。 ミルクレープはいつ頃から日本に存在しているのだろうか。
もっとも早くミルクレープの存在が確認できるのは、1976年6月5日に出版された女性ファッション誌『an an(アンアン)』のなかである。
1976年に女性ファッション誌のなかでミルクレープが登場
ミルクレープが最初に登場するのは、1976年6月5日の『an an(アンアン)』のなかである。
本書では「ミル・クレープ」という名前の料理が、写真とレシピつきで登場する。現在のミルクレープとは少しレシピが違うが、クレープを重ねた層にしたケーキである。このミルクレープは当時西麻布にあった「勝沼亭」が紹介しているもので、普段から出しているものではなく、予約があったときに提供するメニューだと説明されている。こちらが資料としてはもっとも早い。現時点では、ミルクレープを最初に提供した店は、当時西麻布に存在した「勝沼亭」であるといえそうだ。
1976年9月20日号『ノンノ』のなかでも「ミル・クレープ」という名前の料理が紹介されている。こちらも現在のミルクレープとは若干違うが、クレープを重ねて層にしたケーキである。
1978年に出版された製菓事業者向けの雑誌『製菓製パン 44』(全日本菓業新聞連盟加盟誌)には、ミルクレープという言葉が登場しないが、現在のミルクレープにそっくりなケーキが紹介されている。
1981年6月に出版された『主婦と生活』(主婦と生活社)のなかでは現在のミルクレープに非常に近いミルクレープが登場する。名前はもちろん「ミルクレープ」で、クリームとクレープを重ねた現在でもみられるミルクレープである。
ちなみにボリューミーなケーキで有名なHARBS(ハーブス)は、『ハーブスと私ーHARBS誕生物語』(山田 幸枝)によると1982年にミルクレープを販売している。同書によると、ハーブスの創業に携わった著者の山田幸枝さんは、1982年に東京にケーキの視察に訪れた際に食べたミルクレープに感銘を受けて、ハーブスでも出したいと思ったそうだ。つまり1982年には東京にミルクレープを提供する店があったということになる。そして同じ年にハーブスもミルクレープを販売しているのである。
ミルクレープを有名にしたドトール
ミルクレープを定番のケーキに格上げしたのはドトールコーヒーなのではないだろうか。
1996年にドトールが販売したミルクレープは、現在でも人気の商品である。ジャーマンドック、ミラノサンドと並んで、ドトールの看板商品として紹介されるケーキだ。ドトールは、機械化が可能なミルクレープを、職人が手作りしており、絶妙な薄さでクレープを焼くことで人気の味を生み出しているという。ドトールが全国の店舗で販売を開始したことで、ミルクレープは日本の定番ケーキの1つになったと筆者は推察している。
本ページで書ききれなかったミルクレープのさらに詳しい歴史は以下の本で紹介しています。
またチェーン店のミルクレープはこちらのブログで紹介しています。
参考資料
- ミルクレープ生みの親が創る重ね菓子の新ブランド「casaneo(カサネオ)」が東京駅改札内「グランスタ」に初登場!、PRTIMES、2018年8月29日、 https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000013.000028015.html
- casaneo公式サイト、https://casaneo.jp/
- “ミルクレープの生みの親”が新ブランド 大阪・梅田に1号店出店、WWDJAPAN、2017年12月16日、https://www.wwdjapan.com/articles/519261