街と食Uber Eatsなどのフードデリバリーサービスの普及は食の何を変えたのか? 実際に配達員として働いた経験から考察
コロナが徐々に落ち着いてきた2022年の8月、私はフードデリバリーの仕事を始めた。Uber Eatsや出前館などの配達員の仕事である。理由は単純に生活費を稼ぐためである。フィールドワーク的なものというわけではない。 Uber Eatsや出前館で実際に配達員の仕... 書評・書感【書評】サピエンス史から食を展望する『食の文明論』
コロナ禍は私たちの食を大きく変えた。飲食店は営業自粛の要請を受けた。外出自粛の要請や来日者の激減で閉店した店や、テイクアウトやデリバリー、通販のみに切り替える店も多くあった。自粛要請が解除された後でも営業時間の短縮や大人数での利用、アル... 街と食岡山銘菓「調布」のユニークさと焼きそばパンとの類似性につい
岡山県の定番・人気のお土産といえば吉備団子であるが、もう1つ人気のお土産が「調布」である。調布は、薄いカステラで求肥を包んだ和菓子だ。カステラといっても普段食べるふわふわで四角いものではなく、どら焼きくらいの薄さのものだ。吉備団子に比べ... 飲食店・食空間について土地の歴史を継承し繋がりをもたらすドンキを考察した一冊『ドンキにはなぜペンギンがいるのか』についてと地域のたまり場としてのマクドナルドについて
食品、雑貨、家具から家電までなんでも揃っているチェーンストアのドン・キホーテには、「ドンペン」と呼ばれるペンギンのマスコットキャラクターがいます。 このマスコットキャラクターは店内のイラストに使われるだけでなく、店先の看板にも登場します。... 洋菓子70年代、80年代のクレープブームはいつ、どのようにはじまったのか? また当時と現在のクレープはどう違うのか?
「カニクリームクレープ」や「ハンバーグクレープ」など、今では考えられないようなクレープがレストランで提供されている時代があった。クレープがブームであった1970年代、80年代である。 現在、ストリートフード、ファストフードとして定着しているク... その他あらゆるプラットフォーマーに公平性や透明性が求めるられる時代へ|食べログが提訴された件について
グルメサイトの『食べログ』を運営するカカクコムを、焼き肉チェーン『KollaBo』を運営する韓流村が提訴した。東京地方裁判所は6月16日、カカクコムに対し3840万円の支払いを命じる判決を言い渡した。 ことの発端は、2019年5月21日になって、韓流村が... 書評・書感書評『肉食の哲学』|ビーガン批判と肉食はいかに倫理的であるか主張する一冊
肉を食べることは倫理的である。 ビーガンの存在が一般的に認知されるようになった昨今、動物の肉を食べることが非倫理的であるという主張はよく耳にする。しかしその真逆の主張である「肉を食べることが倫理的である」などという主張はめったに見かけ... 書評・書感要約・感想『肉食の思想 ヨーロッパ精神の再発見(鯖田豊之著)』|肉中心の食生活と人間中心主義的思想の関連について
はるか昔から米中心の食生活を送る日本人。そして肉とパンを食の中心に置いてきたヨーロッパ。この大きく異なる食生活の違いが、実は日本人とヨーロッパの人たちとの考え方や価値観に影響を与えている。 食べるものによって、醸成される思想が変わる。... 洋菓子【ミルクレープの歴史】ミルクレープを最初に紹介した雑誌、ミルクレープを最初に提供したと考えられる店について
不二家、シャトレーゼといった定番のケーキ屋ではもちろんのこと、ドトール、ベローチェなどのカフェから、コンビニやスーパーでも買える日本では定番のケーキであるミルクレープ。 ミルクレープはいつ頃から日本に存在しているのだろうか。 もっとも... 書評・書感【書評】『はじめての動物倫理学』|なぜ動物に倫理が適用されるのか、動物とどののように付き合うべきかがわかりやすく解説された一冊
ペットとなる犬や猫に愛着を感じ、大量の犬や猫が日々殺処分される現実に強い反感を抱く一方で、日々、動物の肉を食べ、乳製品を消費し、動物園を楽しみ動物実験を黙認している。 生きるためには食べなければいけない。具合が悪い時は薬に頼らなければ... 食の課題なぜ肉を食べない人が増えているのか?|動物倫理、環境問題など食肉に起因する問題をまとめて紹介
カフェやレストランでは、ビーガンメニューが少しずつ見られるようになり、スーパーやコンビニでも大豆ミートやプラントベースチーズといった言葉をみかけるようになった。そして肉を食べることを止める人、肉を食べる機会を止める人が増えている。これ... 書評・書感要約・書評『クリーンミート 培養肉が世界を変える』|培養肉が普及することについて
多くの動物を苦痛から開放し、環境問題や食糧問題解決の糸口になるかもしれない食べ物が存在する。一方でその食べ物は試験管のなかで作られた極めて人工的な食べ物だ。それが培養肉である。 この不思議な食べ物を私たちは受け入れることができるのか。... 書評・書感『鬼滅の刃』に見られる【理系VS文系】的構図について
『鬼滅の刃』を最終巻まで読んだのだが、本作は文系VS理系のような構造があるように思える。 ちなみにこの文章はネタバレを含む。また『鬼滅の刃』のストーリーや登場人物の属性などをある程度把握している前提で展開していくので留意いただきたい。 ... 書評・書感人身御供譚はなぜ語られるようになるのか?|『神、人を喰う―人身御供の民俗学』の書評と現在の人喰い物語への考察
人を神の食べ物として犠牲にすることを人身御供といい、それを語る物語のことを人身御供譚という。日本には、この人身御供譚を付帯している祭が無数に存在している。尾張国府宮の「儺追祭」や山形県の椙尾神社の「大山犬まつり」などあげればキリがない... 書評・書感生姜焼き、ナポリタンなど日本の定番料理のルーツを徹底した文献調査から探った一冊『オムライスの秘密 メロパンの謎』内容紹介・書評
ナポリタン、オムライス、ハヤシライス、焼きそば、メロパン、ショートケーキなど、現在日本で定番になっている料理は、どこの誰が、いつ考案したものなのか。そのルーツを探ったのが『オムライスの秘密 メロンパンの謎: 人気メニュー誕生ものがたり』(... 書評・書感食事の最後に甘いものを食べる習慣はいつから存在するのか?|『図説 デザートの歴史』の内容紹介と感想
人間はいつから食後にデザートを食べるようになったのだろうか。 今では甘いものは時間を問わずいつでも食べる。朝食代わりにスイーツを食べたり、朝食と昼食の間や、昼食と夕食の間、そして夜食などあらゆる場面で甘いものを食べる機会がある。一方で... 書評・書感日本はいかにしてグルメ大国になったのか? 日本の外食歴史を総観する一冊『日本外食全史』(阿古真理著)の内容紹介と感想、書評
東京はミシュランで星の数がもっとも多い都市であり、また日本は世界主要32国のなかで飲食店の数がダントツで多い国である。なぜ日本はこれほどまでにグルメな国なのか。その秘密を解き明かすとともに、懐石や居酒屋、やきとりから天ぷらといった和食か... 書評・書感健康という宗教とどう付き合うべきなのか?|『「健康」から生活をまもる 最新医学と12の迷信』の内容紹介と感想
身体は食べたものからできている。だから食べることは健康と密接につながっている。近代の日本人がビタミンB1の不足で脚気に苦しみ、ヨーロッパの人々がビタミンC不足で壊血病で苦しんだように、食事の偏りは病気の原因となる。食べものは健康にとって非... 書評・書感健康第一主義はなぜ危険なのか、どう危険なのかを考える|『健康禍 人間的医学の終焉と強制的健康主義の台頭』内容紹介と感想
「健康第一」という言葉があるが、本当に健康は生きるうえでもっとも大切なものなのだろうか。たしかに健康は大切だ。病気になれば少なからず苦痛に襲われるし、通院や入院でお金と時間が失われる。健康的な生活で不死身になれるわけではないが、それでも... 書評・書感LAの食から食の多様性と画一性を捉え直す『LAフードダイアリー』(三浦哲哉著)|内容紹介と感想
多様であることは、あらゆる場面でよしとされる。食の世界でも同様だ。牛丼やハンバーガー、蕎麦や寿司だけでなく、中華もエスニックもフレンチもイタリアンも、ありとあらゆる選択肢があることは良いことだと当たり前のように思っている。しかし、経済...