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『銃・病原菌・鉄』に寄せられた批判とは? ビジネス界からも支持されている理由とは?
中国やインド、シンガポール、台湾、韓国などアジアの国々の存在感が増す昨今であるが、それでも依然としてヨーロッパとアメリカやカナダなどのヨーロッパを起源とする地域に、多くの富と権力が集まっている。なぜ富や権力は、アフリカや東南アジア、南... -
フードテックは私たちを幸せにするのか?|『フードテック革命 世界700兆円の新産業 「食」の進化と再定義』の要約と感想
「フードテック革命に日本不在」そんな嘆きからはじまるのが、本記事で紹介する『フードテック革命 世界700兆円の新産業 「食」の進化と再定義』である。 本書の著者は、2016年にシアトルで開催されたスマートキッチンサミットに参加したのだが、日本企業... -
【書評】『コーヒーと日本人の文化誌(メリー・ホワイト著)』アメリカの文化人類学者がカフェと日本人、カフェと日本都市を考察した一冊
日本で最初の喫茶店は、1888年に鄭永慶(ていえいけい)が開いた「可否茶館」だといわれている。これ以降、日本には様々なカフェが生まれてきた。 純粋にコーヒーを楽しむカフェから、音楽を聴くため名曲喫茶、メイドさんが接客してくれるカフェ、そし... -
『「食べること」の進化史(石川伸一)』の書評と個別化食について
いまでこそ簡単に手に入る香辛料であるが、世界で流通するようになって間もないころは、まだまだ希少であり、また「万能の薬」として重宝されていた。そんな香辛料は、貴重であるがゆえに、供給を制限することで領民を支配するための道具として、また富... -
なぜ完全食が生まれたのか? 完全食は私たちに何をもたらすのか?
健康を維持にするために必要な栄養素がすべて入っている食べもの完全食、もしくは完全栄養食が注目されている。 一昔前の完全食といえば、卵や玄米、その他や肉、野菜、炭水化物がバランス良く入っている食材や料理そのものを指した。一方、最近の完全... -
フランス菓子の歴史と命名法がわかる一冊『名前が語るお菓子の歴史』|私たちは100年以上も前に考案された価値を食べ続けている
日本でも人気の焼き菓子である「フィナンシェ」。実は「フィナンシェ」という言葉は「金融家」を意味する。焼き菓子なのになぜ金融家なのか。実は、パリの証券取引所の近くで店を開いた菓子職人ラヌが、フィナンシェ(金融家)たちが、背広を汚さずに手... -
マクドナルドは安価、快適、便利な場所を提供する社会に欠かせない場所
マニュアル化、合理化のために人間性を排除した資本主義の権化として、ジャンクフードの代表格として、一部の人から忌み嫌われるファーストフードチェーン「マクドナルド」。 しかしマクドナルドが提供しているその空間を見てみると、インフラの充実度... -
図書館とスターバックスが隣り合わせになった複合施設「エトモ池上(2021年4月オープン)」を訪問しての雑感
2021年の4月に東急池上線・池上駅がリニューアルし、複合施設であるエトモ池上が完成した。この建物の4階にはスターバックスがあるのだが、それと隣り合うようにして図書館がある。 スターバックスと図書館が同じ建物に設置されることに対して、筆者は... -
【書評】新しい目の旅立ち(プラープダー・ユン)|汎神論とスピノザの哲学と自然に特別な意味を見出す思想
「環境保護は重要である」 私たちはこの考えを何の疑いもなく支持している。しかしその考えが実は、豊かな国に住むある程度裕福な人間がもつ、身勝手な考えにすぎないのだとしたら……。 そんなスリリングな主張をするが『新しい目の旅立ち』という一... -
サードプレイスとは何か?|レイ・オルデンバーグ『サードプレイスーコミュニティの核になる「とびきり居心地よい場所」』の書評とサードプレイスの特徴など
ここ最近スターバックスが増えることについて少し違和感があり、スターバックスについて調べているのだが、その過程で必ず目にするのが「サードプレイス」という言葉だ。 「スターバックスの人気の秘密はサードプレイスを提供したことにある」と説明される... -
スターバックスを批判的に考察する数少ない著書『お望みなのはコーヒーですか?(ブライアン・サイモン)』内容紹介と書評
『お望みなのはコーヒーですか?』は、日本語化されている本のなかでは数少ないスターバックスを批判的に論じた本である。 しかもその内容は「意識高い系が嫌い」や「気取った雰囲気が嫌い」といった感情的な批判ではなく、取材と文献にもとづいた社会学的... -
スタバのテーマパーク「スターバックスリザーブロースタリー東京」はどんな場所か?|特徴、従来店との違いなど
このブログでは、日本最大のカフェチェーンであるスターバックスについて、その影響力が強まることの是非をあれこれ考察している。 当ブログの調査対象であるスターバックスは、2019年に一風変わった店舗を東京中目黒にオープンした。それが「スターバ... -
スターバックスの歴史と年表|シアトルでの誕生から日本上陸、リザーブロースタリーがオープンするまで
このブログではスターバックスの存在の是非について考察を試みている(スターバックス考)。その1つとしては今回はスターバックスの歴史をまとめることにした。 日本の話と海外での話が混在しているため、わかりづらい部分もあるかもしれないが、参考にな... -
【書評】珈琲の世界史(旦部 幸博)|コーヒーの伝播、カフェのはじまりを深堀りした一冊
コーヒーの歴史といえば、カルディというヤギ飼いの少年の話が有名だ。ヤギが楽しそうに食べている赤い実を、カルディ自身も食べてみたら楽しい気分になり、ヤギと一緒に踊ったという話だ。あまりにも有名な話であり、筆者はこれがコーヒー発見の歴史だ... -
スターバックスの人気の理由はその排他性にある
スターバックスは排他的なカフェである。 これは別にスタバを批判しているわけではない。むしろスタバは排他性があるからこそ圧倒的人気なのである。 スタバはそのコンセプトとそこに集まる人たちによって、自然と排他性をおびたカフェになっている。... -
【書評】『世界からコーヒーがなくなるまえに』|2080年にはコーヒーがなくなるかもしれない
2080年には、コーヒーが飲めなくなるかもしれない。もしくはコーヒーは、一部の金持ちだけが飲める超贅沢品になる。 そんな悲観的なシナリオを説くのが、コーヒーの環境問題、労働問題に焦点を当てた『世界からコーヒーがなくなるまえに』である。本書... -
スターバックスの取り組み、特徴まとめ|スタバは非の打ち所がない素晴らしい企業なのか?
スタバがどんどん増えている。その勢いは今でも衰えることなく、店舗数はチェーンカフェのなかでぶっちぎりの1位だ。 しかしスタバが日本で増えることについて、どうも違和感を感じてしまう。しかしその違和感をうまく言語化することができない。ひと... -
【書評】空腹について(雑賀恵子)|空腹に振り回される人間について
『孤独のグルメ』の主人公、井之頭五郎は空腹を満たすときつかのまの幸福を得る。同じくグルメ漫画の『忘却のサチコ』の主人公、佐々木幸子は空腹を満たすとき、結婚式当日に自分のもとを去った婚約者、俊悟さんのことを忘れることができる。 『ドラゴンボ... -
身近に存在するカニバリズム|みんなカニバリズムで大人になる
人間における最大のタブーといえばカニバリズム、すなわち人間を食べることだ。死んだ人間であっても無論、たとえ餓死の危機に瀕しているとしても、現代においてカニバリズムは絶対に許されない行為ということになっている。 一方で実は、多くの人間がカニ... -
【書感】性食考(赤坂憲雄 著)|内容紹介・感想とゾンビの考察
食と性は奇妙につながる。 たとえば「食べる」という言葉には、2つの意味が存在する。1つは「パンを食べる」といった、文字通りの食べるという意味。もう1つは「性交する」という意味だ。たとえば「あの娘を食べたい」「あの人はこのサークルの男を食い散...